Memoirs:tender tyrant-stage 1-
まったくあの女は人の話を聞かん奴だ
はぁ、と溜息をついた魔女はどんよりと曇った空を見上げた。この空の上では恐らくどこかのファンタジーとはほど遠い天空要塞とKMFが攻防を繰り広げているのだろう。自分を打ち負かしたあの紅い女戦士も参戦するに違いない。厄介な事だ。
さて どうするか、と魔女は思案する。
彼女は先程愛すべき彼女の魔王を敵地へと送り出したばかりだった。
「戻ってこい。私に笑顔をくれるんだろう。」
生きろよ、という意味合いを込めて言ったのだが、仮にダモクレスとあの第二皇子を攻略したとして先がそう長くないのはわかっている。そういう計画なのだから。
恐らく頭のいいあの少年と(先程も何やらせっせと仕込みをしていた。兄に勝つ為の小細工だろう)なんだかんだで手を組んだ体力馬鹿の二人の事だ。この計画は成功するだろう。唯一気になるのは最大の弱点である妹のナナリーだが、これは遠い空の上のこと、今海上をクラゲのように漂うしかない彼女には手が出ない。
とにかく。
やはり納得がいかない、と彼女はひとりごちた。
なるほどたいしたシナリオだ。ゼロレクイエムとはよく言った。全てが計画通りに進めばとりあえず世界は恒久的にとはいかないまでも落ち着くだろう。
だがしかし、その後に残るのは何だ?お前の妹はどうなる。兄を反面教師に勇ましく生きていくかもしれんが、悲しい事には変わりあるまい。あの紅の戦士も。皇の娘も。.....なんだ女ばかりだな。あのタラシめ。
いやとにかく、私はどうなる。結局ふりだしか。冗談じゃないぞ。
そうとも冗談じゃない。シャルルとマリアンヌを蹴ってお前の味方をしてやったのはこんな結末の為じゃない、と思う。このままだとなんだかあの枢木スザクに全て持っていかれる気がする。腹が立つ。私はアイツが嫌いなのだ。
意を決した魔女は行動を開始した。
最初にその変化に気づいたのはダモクレス内をKMFで走っていたスザクだった。ランスロットの中でも明らかに感じる周囲の変化。なんとなくエレベーターに乗っているようなあの感覚だ。
何かおかしい。伴走する蜃気楼に回線を繋ぐ。
「ルルーシュ」
『なんだ?』
「ダモクレスが下降してる。」
先程まで上昇していたようだったのだが。とか言ってる間に下降のスピードが増す。下降なんてものじゃない、急降下だ。ちなみに飛行機が急降下すると中は無重力になる。今のダモクレスがまさにそれだった。(どんだけ上空に上がってたのか、ということは考えまい)
『何だ!?』
「あー、すごいね。結構なスピードで降りてるよ。すぐ海面かな。」
『お前、なに呑気に...!』
「うん。ちょっとマズいかな」
と、それは唐突に止まった。急激に戻る重力にあやうく床に叩きつけられそうになった蜃気楼はランスロットに阻止された。
一体なんだ。シュナイゼルは何を考えていきなりダモクレスを降下させた?
異母兄の行動パターンについて127通りのシミュレーションを行っている傍らで、いきなりランスロットがヴァリスを抜いた。壁を破って現れたKMFに有無も言わさず発砲する。
『うわ!ちょ、タンマ!!』
「何の用?邪魔なんだけど。」
この至近距離で避けたのはさすがラウンズと言うべきか、ラクシャータがいじったトリスタンのスペック故か。(本人の名誉の為には前者と言っておこう)
『いや違うって!暴力反対!!』
ぱたぱたと手を振るトリスタンをまるきり無視して2発目のヴァリスが放たれた。後ろにそれた砲弾は天井を破って飛び降りてきた紅蓮の輻射波動に受け止められる。
まったく面倒くさいのがまた増えたなぁ、と回線を繋いだまま舌打ちするスザクに、こいつも黒くなったもんだ、と溜息をつくルルーシュの耳をカレンの叫び声が叩いた。
『ちょっとルルーシュ!あんた何バカな事考えてんの!?』
ああこの分じゃC.C.は撃沈か まぁ死んじゃいないだろうな、などと思いつつカレンへの対応を考えていると、トリスタンを突き飛ばす勢いで紅蓮がずずずいと近づいてきた。(一応ランスロットに間合いを取っているのは流石だが)そして
『勝手に悪役引き受けて死のうなんて許さないんだから!!!!』
ーーーは??
ちなみにこれがオープンチャンネルで辺り一帯に響き渡っていたということはかなり後でわかったことだった。
蜃気楼及びランスロット、そしてトリスタンと紅蓮。4機のKMFは一定の距離を置いて向かい合っていた。
カレンの一言に動きを止めたのは前者。勢いに任せてカレンは声を張り上げる。
『あんたバっカじゃないの!?誰が嬉しいってのよそんなの!!ざけんじゃないわよ!!ちょっとスザク!あんたもよ!!そんな計画にほいほい乗ってんじゃないわよ!!』
随分な言い方だ。そんな計画って。いやしかし、何故カレンが知っている!?カマをかけているのか?いやカレンはそんな腹芸は得意じゃない。これもシュナイゼルの差し金か?
と考える間もあらばこそ、ぐい、と機体が傾き、バランサーが間に合わず転倒しかける。
『あ、ちょっとスザク!?』
『おい、待てって!!』
蜃気楼を引きずる勢いで回れ右したランスロットを紅蓮とトリスタンが追う。スラッシュハーケンを放てば弾き返され、壁面を走って回り込もうとすれば壁を壊され、腹立ちまぎれの輻射波動は天井を落とし、と4機の追走劇は確実にダモクレスを破壊していく。
「ちょっと待てスザク!まだフレイヤ弾頭は残ってるんだぞ!」
『中心が無事なら問題ないよ。....まだ追ってくるなぁ。』
もはや当初の目的というものを忘れているとしか思えない己の騎士にいささか頭痛を覚える。なんなんだこの状況は。
と、目の前の通路に隔壁が降りた。代わりのように開く通路をそのまま走る。降りる隔壁と開く通路。
待て。おかしい。これは何か完全に追い込まれてないか。
そんな危惧などきれいに無視してランスロットとトリスタン、紅蓮の攻防は続く。
『話聞きなさいよ!この自分勝手男!!』
『早まるなスザク!人生これからだぞ!』
声の合間に飛び交う爆発音。床は抜け壁は崩れ天井の一部から曇った空が見える。ああやはり随分下降してる。波の音も聞こえるからもう海面すれすれか。なかばやけくそにそんなことを考えていると、目の前の扉が開いた。滑り込む4機のKMF。そして。
「やぁ待ってたよ二人とも。」
「お待ちしてました。お兄様。スザクさん。」
ざざざざざ、と急停止した4機の前で、第二皇子と車椅子の皇女がにっこりと微笑んでいた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あんまし時間的なズレとかそういうのはスルーしませう。
はぁ、と溜息をついた魔女はどんよりと曇った空を見上げた。この空の上では恐らくどこかのファンタジーとはほど遠い天空要塞とKMFが攻防を繰り広げているのだろう。自分を打ち負かしたあの紅い女戦士も参戦するに違いない。厄介な事だ。
さて どうするか、と魔女は思案する。
彼女は先程愛すべき彼女の魔王を敵地へと送り出したばかりだった。
「戻ってこい。私に笑顔をくれるんだろう。」
生きろよ、という意味合いを込めて言ったのだが、仮にダモクレスとあの第二皇子を攻略したとして先がそう長くないのはわかっている。そういう計画なのだから。
恐らく頭のいいあの少年と(先程も何やらせっせと仕込みをしていた。兄に勝つ為の小細工だろう)なんだかんだで手を組んだ体力馬鹿の二人の事だ。この計画は成功するだろう。唯一気になるのは最大の弱点である妹のナナリーだが、これは遠い空の上のこと、今海上をクラゲのように漂うしかない彼女には手が出ない。
とにかく。
やはり納得がいかない、と彼女はひとりごちた。
なるほどたいしたシナリオだ。ゼロレクイエムとはよく言った。全てが計画通りに進めばとりあえず世界は恒久的にとはいかないまでも落ち着くだろう。
だがしかし、その後に残るのは何だ?お前の妹はどうなる。兄を反面教師に勇ましく生きていくかもしれんが、悲しい事には変わりあるまい。あの紅の戦士も。皇の娘も。.....なんだ女ばかりだな。あのタラシめ。
いやとにかく、私はどうなる。結局ふりだしか。冗談じゃないぞ。
そうとも冗談じゃない。シャルルとマリアンヌを蹴ってお前の味方をしてやったのはこんな結末の為じゃない、と思う。このままだとなんだかあの枢木スザクに全て持っていかれる気がする。腹が立つ。私はアイツが嫌いなのだ。
意を決した魔女は行動を開始した。
最初にその変化に気づいたのはダモクレス内をKMFで走っていたスザクだった。ランスロットの中でも明らかに感じる周囲の変化。なんとなくエレベーターに乗っているようなあの感覚だ。
何かおかしい。伴走する蜃気楼に回線を繋ぐ。
「ルルーシュ」
『なんだ?』
「ダモクレスが下降してる。」
先程まで上昇していたようだったのだが。とか言ってる間に下降のスピードが増す。下降なんてものじゃない、急降下だ。ちなみに飛行機が急降下すると中は無重力になる。今のダモクレスがまさにそれだった。(どんだけ上空に上がってたのか、ということは考えまい)
『何だ!?』
「あー、すごいね。結構なスピードで降りてるよ。すぐ海面かな。」
『お前、なに呑気に...!』
「うん。ちょっとマズいかな」
と、それは唐突に止まった。急激に戻る重力にあやうく床に叩きつけられそうになった蜃気楼はランスロットに阻止された。
一体なんだ。シュナイゼルは何を考えていきなりダモクレスを降下させた?
異母兄の行動パターンについて127通りのシミュレーションを行っている傍らで、いきなりランスロットがヴァリスを抜いた。壁を破って現れたKMFに有無も言わさず発砲する。
『うわ!ちょ、タンマ!!』
「何の用?邪魔なんだけど。」
この至近距離で避けたのはさすがラウンズと言うべきか、ラクシャータがいじったトリスタンのスペック故か。(本人の名誉の為には前者と言っておこう)
『いや違うって!暴力反対!!』
ぱたぱたと手を振るトリスタンをまるきり無視して2発目のヴァリスが放たれた。後ろにそれた砲弾は天井を破って飛び降りてきた紅蓮の輻射波動に受け止められる。
まったく面倒くさいのがまた増えたなぁ、と回線を繋いだまま舌打ちするスザクに、こいつも黒くなったもんだ、と溜息をつくルルーシュの耳をカレンの叫び声が叩いた。
『ちょっとルルーシュ!あんた何バカな事考えてんの!?』
ああこの分じゃC.C.は撃沈か まぁ死んじゃいないだろうな、などと思いつつカレンへの対応を考えていると、トリスタンを突き飛ばす勢いで紅蓮がずずずいと近づいてきた。(一応ランスロットに間合いを取っているのは流石だが)そして
『勝手に悪役引き受けて死のうなんて許さないんだから!!!!』
ーーーは??
ちなみにこれがオープンチャンネルで辺り一帯に響き渡っていたということはかなり後でわかったことだった。
蜃気楼及びランスロット、そしてトリスタンと紅蓮。4機のKMFは一定の距離を置いて向かい合っていた。
カレンの一言に動きを止めたのは前者。勢いに任せてカレンは声を張り上げる。
『あんたバっカじゃないの!?誰が嬉しいってのよそんなの!!ざけんじゃないわよ!!ちょっとスザク!あんたもよ!!そんな計画にほいほい乗ってんじゃないわよ!!』
随分な言い方だ。そんな計画って。いやしかし、何故カレンが知っている!?カマをかけているのか?いやカレンはそんな腹芸は得意じゃない。これもシュナイゼルの差し金か?
と考える間もあらばこそ、ぐい、と機体が傾き、バランサーが間に合わず転倒しかける。
『あ、ちょっとスザク!?』
『おい、待てって!!』
蜃気楼を引きずる勢いで回れ右したランスロットを紅蓮とトリスタンが追う。スラッシュハーケンを放てば弾き返され、壁面を走って回り込もうとすれば壁を壊され、腹立ちまぎれの輻射波動は天井を落とし、と4機の追走劇は確実にダモクレスを破壊していく。
「ちょっと待てスザク!まだフレイヤ弾頭は残ってるんだぞ!」
『中心が無事なら問題ないよ。....まだ追ってくるなぁ。』
もはや当初の目的というものを忘れているとしか思えない己の騎士にいささか頭痛を覚える。なんなんだこの状況は。
と、目の前の通路に隔壁が降りた。代わりのように開く通路をそのまま走る。降りる隔壁と開く通路。
待て。おかしい。これは何か完全に追い込まれてないか。
そんな危惧などきれいに無視してランスロットとトリスタン、紅蓮の攻防は続く。
『話聞きなさいよ!この自分勝手男!!』
『早まるなスザク!人生これからだぞ!』
声の合間に飛び交う爆発音。床は抜け壁は崩れ天井の一部から曇った空が見える。ああやはり随分下降してる。波の音も聞こえるからもう海面すれすれか。なかばやけくそにそんなことを考えていると、目の前の扉が開いた。滑り込む4機のKMF。そして。
「やぁ待ってたよ二人とも。」
「お待ちしてました。お兄様。スザクさん。」
ざざざざざ、と急停止した4機の前で、第二皇子と車椅子の皇女がにっこりと微笑んでいた。
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あんまし時間的なズレとかそういうのはスルーしませう。
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