exchange -stage 5-
ざわ、と再び街にどよめきが蘇る。
ひらり、ひらりと舞うミニスカートとチャイナドレス。そしてそこからすんなりと伸びる脚。
彼女らが一歩を踏み出す度に必ず一人は振り返る。ブリタニアで東洋人の姿を見ることもそう珍しくはなくなったとはいえ、彼女らは目を引いた。その引力たるやすさまじいものだった。
すれ違い、思わず振り返った青年に にこり、と微笑みかけたのは豊満な肢体をそれと裏腹に可愛らしい女学生風の服に包む栗色の髪の少女。人なつこそうなその表情に青年は呆然と立ち尽くす。
片や漆黒の髪をなびかせチャイナドレスの大胆なスリットが艶かしいエキゾチックな美女。ふ、と何気なく向ける視線の先でまた一人、若者が金縛りになった。
まるで魔法にでもかけられたように、我に返った彼らは我先にと彼女らの後を追い始めるのだ。
「ね...ねえ君達!ブリタニアは初めて!?なんなら俺達案内するよ!」
「あ、おい!抜け駆けすんな!.....あ、あの、俺、中華の言葉話せます!あ、ひょっとして日本人!?えっと、」
「あら、ブリタニア語なら大丈夫よ。ご親切にありがとう。」
にこ、と少女が無邪気に微笑む。ふらふらと引き寄せられるようにまた周囲から人が集まり始めた。
「君達姉妹?ブリタニアには観光?」
「ブリタニア語うまいんだね!どう?僕たちと付き合わない?」
「えぇー、どうしよう?」
小首をかしげ上目遣いにこちらを見やる少女のつぶらな瞳に、彼らの脳裏を「可愛い」と言う言葉がひたすらリフレインする。もっともその背中で少女の手がVサインを作っていることなど彼らは知る由もなかった。
「......慣れているな。」
「このぐらいなら軍の飲み会での余興レベルです。ちょろいもんですよ。」
「.........君も苦労したようだな。」
「伊達に名誉ブリタニア人やってませんから。」
と、人垣の一角にざわ、と不穏な空気が漂い始めた。見ればそこには東洋人らしい一団と明らかにブリタニア人のグループが睨み合っている。
「おいちょっとお前ら、ブリタニア人が馴れ馴れしくしてんじゃねぇ!」
「んだと?異文化コミュニケーションが悪いってのか?」
両者の間で火花が散る。まさに一触即発といった様子だ。
「まずいですね。揉め事は避けましょう。『あれ』でいきますか。」
「『あれ』か.....いいだろう。」
美女の手前いいところを見せたい男達が互いの拳を振り上げた瞬間だった。
「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
絹を裂くような悲鳴が轟いた。何事かと振り返る一同の前でふらりと黒髪の美女が崩れ落ちる。
「「「「「お嬢さん!!大丈夫ですか!!!???」」」」」
先程までの空気がどこへやら、周囲にたちまち築かれる人人人の山山山。(後の記録では最高100mの彼方から介助の手が飛んできたらしい。)ざ、と手が差し伸べられる様はさながら千手観音の顕現。ただ違うのはその根幹の多くが慈悲ではなく欲ということか。
「ごめんなさい、実はお姉さん持病があるの。」
うるっ、と少女が大きな瞳を潤ませる。
「病弱な美女とその身を案じる可憐な美少女」の図に彼らは猛烈に感動していた。だ-、とあちこちで熱い滂沱の涙が鬱陶しいほどに流される。
「大丈夫!?手を貸すよ!」
「しっかりして!!水持ってこようか!?」
「いや医者だ!救急車!」
「あ、おい気がついたぞ!お嬢さんしっかり!」
さっきまでにらみ合っていた連中の間に、何やらすっかり助け合いの図ができている。世界平和というものは案外簡単なのかもしれないな、と美女二人はちらりと思った。
「~~~~~~~~~~~~~~............」
「あら?どうなさってゼロ様?」
ずるずるとルルーシュが椅子から滑り落ちる。それを他所に4人の視線は興味深げにモニターを覗き込んでいた。
「あらー、すごいじゃない。美脚を生かした衣装もいいけど、この演技力は只者じゃないわね。」
「........(ユフィには見せられんな.....)」
「天子様?大丈夫ですの?まぁお顔が真っ赤。」
「....し.....星刻、きれい.......」
「まぁ天子様、是非それを本人に言って差し上げて下さいな。ほらルルちゃん。なにすっこけてんの。採点採点!」
「.....やりすぎじゃありませんか?」
「いーのよ。か弱さ、健気さ、可憐さは男を落とす必勝アイテムなんだから!.....ひょっとしてルルちゃん、スザクが他の男に取られないか心配?」
「違います!!!」
「あーら真っ赤になって。確かに可愛いわよねスザ子ちゃん。ルルちゃんも男の子ねぇ。あ、関係ないか。」
「違うと言ってるでしょう!!!!!」
「まぁ!スザクさんとっても可愛らしいです!」
「ほぅ。東洋人二人中々人気じゃないか。特に星刻はいい線だな。ブリタニア人は黒髪に弱いと見た。」
アーニャが再び写真を撮りに走った。今日一日で彼女のコレクションも充実したことだろう。原因不明のやり場の無い苛立ちを街路樹にぶつけているカレンに 公共物を壊すなよ、と一言投げたC.C.は、背後からごそごそと聞こえる呟きにふと耳をそばだてた。
「......す....すげぇ色っぽくないか?」
「チャ....チャイナドレス!やはり中華美人はこうでないと!ああこの生脚が.....」
「い....いや待て!見ろ!このミニスカとニーソの絶対領域!ま...眩しい!!」
「しかもこの清楚な服装とエロいボディとのミスマッチが.....」
「.....あいつこんな美少女だったのか......」
「.....こいつにならゼロを譲ってもいいかもな......」
「うーむ、何かそれはそれでこう、怪しい香りが.......」
「百合か?百合って奴か!?」
「き...禁断の領域に....!」
「よし、これ日向達にネタ提供してやろうぜ!」
「報酬は新刊各一冊と次のイベントでの猫耳メイド本あたりで.....」
いつの間にかモニターを前に集まっては別世界の話題に熱くなっているメイド集団から目をそらしたC.C.は、何があっても彼ら(彼女らか)とは他人のフリを貫き通すことを誓った。
一方ホテルのラウンジ。
「ははは、これは見物だね。いい勝負になってきたじゃないか。」
「ま、中々ツボを心得てますわね。そろそろ時間.....」
と、そのときマナーモードに設定された携帯電話が小さく振動した。どうやら政庁かららしい。電話を取ったカノンがやや眉を寄せた。
「.....殿下」
ひそ、と耳元に囁くカノンの言葉に、金髪の美女は微かな笑みを浮かべた。
「.....それは面白いことになりそうだね。」
ラウンジのいわくありげな美女二人を遠巻きに見やっていた人々は、ひそひそ、と何やら囁き合った彼女らが小さなモニターに目をやり意味深に微笑む様に危険な予感を感じずにいられなかった。
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なんか櫻井さんのオカマ声が鼓膜の裏から
響いてしょーがない。
(今回はちゃんと女声ですよ)
この記事へのコメント
予想通りっ!
スザ子も星刻も大人気ですね♪
ビバスザ子っ!!
次回はなんたか怪しい雰囲気ですね…。。。
アーニャさん、写真ください。
え?それでルルは無自覚嫉妬ですか?違う?違うのか???
しかしまあ、シュナ兄ってどうしてこんなに胡散臭い役が似合うんでしょう。表彰してあげたいです。
あのピクドラは名作です。(笑)二期DVD4巻のピクドラもかなりキテましたが.....ほんとにギアスのスタッフ様は素晴らしいです。(^^;
>薄荷様
台風大丈夫でしたか??
ルルは自分の苛々の理由に気づいてないと思いますね~
シュナ兄って、普通に喋ってても胡散臭く聞こえますよねぇ。