The evil eyes-Black Prince&White Knight- stage 2
「行くぞカレン。出番だ。」
すっくと立ち上がったC.C.に腕を取られ、台本を睨んでいたカレンはぎょっと顔を上げた。
「え?え!?ちょ、ちょっと待って!もうちょっと、」
「なんだ。この期に及んでまだ台詞の確認か。情けない。」
「な...何よ文句ある!?」
「はいはい、二人ともさっさと出る!トップシーンですからね。ここでお客様をぐっと引きつけてもらわないと困るのよ!」
「わかってる。任せろ。」
「ちょ、ちょっと、あ、あーっ!!」
自信満々の魔女に引きずられ、カレンの悲鳴は舞台の裏手に消えた。
『....それは今から遠い遠い昔の物語。一人の少女がおりました。親も無く、兄妹も無く、心許せる友も無く、少女はひとりぼっちでした。』
よどみなく流れるセシルのナレーションは各国の言葉に自動翻訳され、音声ガイドから観客へと届く。荒野を思わせる舞台にはみすぼらしい服に身を包む緑の髪の少女。
『そんなある日。少女の前に不思議な女性が現れました。』
「ほら行って!いい?神秘的に。堂々と。超越者、って感じでね!」
「そ、そんなこと言われたって!!」
「ほらっ!行きなさい!!」
悲しげに俯く少女がふと顔を上げる。ぽうっと灯る照明に浮かび上がるのは深紅の髪の女性。血色を欠いたように白い肌にその色は鮮やかに映えた。見事な曲線を描く肢体が薄手の衣装を通してはっきりと浮かび上がる。その妖しいまでの美しさに会場は息をのんだ。
「す....すげぇ。あれ、カレンか!?」
「い....色っぽい....」
「.....(見てるかナオト。カレンは立派に成長してるぞ)」
舞台袖では、大道具及び小道具係に引っ張りだされた騎士団の面々が常ならぬエースパイロットの媚態に度肝を抜かれていた。
「こんにちは。お嬢さん。(よし、言えた!)」
「あ....あなたは?(ふっ、語尾が震えているぞ)」
おどおどと目の前の女性を見上げる少女。艶めいた笑みを浮かべる女性の肩を、深紅の髪がさらりと流れた。
「私はあなたの願いを叶える者。(ああもう、それにしてもこの衣装なんとかなんないの!?恥ずかしい!)」
「私の、願い?(そんなに冷や汗をかくな。化粧が落ちる。)」
「そう。あなたの、願い。私が叶えてあげる。その為の力をあげるわ。(ちょ、ちょっと、小道具、早く!)」
照明の陰と裾の長い衣装に紛れ、小道具係が鏡を手渡す。震える手でカレンはなんとかそれを受け取った。恐らく客席からは突然それが現れたように見えているはずだ。
「その代わり私の願いを叶えてもらう。これは契約よ。(よし、うまくいった!)」
鏡の表面に緑の髪の少女の顔が映る。と、そこに浮かび上がる朱い鳥の印。
「さぁこれを見て。(もう少し、もう少しで終わりだっ!!)」
さすがロイド特製の小道具、よくできている、と感心していると鏡が強烈な光を放った。舞台の照明が一斉に客席に照射され、会場から小さな悲鳴が上がった。
そして、暗転。
「じゃ、あとよろしくねC.C.っ。あー終わった終わった!!!」
「転ぶなよ」
「え?あ、ああぁ!!??」
がらがっしゃん、と微かな物音が袖の近くで聞こえたかと思うと再び照明が灯る。ぽつりと一人佇む少女は先程から一転、美しいドレスをまとっていた。どこからか現れた多くの紳士達がさっと彼女の周りを囲むと、競って贈り物を捧げる。戸惑いながら、微笑む少女。だがその表情は次第に虚ろなものになっていく。
『....少女が願えば誰もが少女を愛しました。たくさんの贈り物、優しい言葉、紳士達のプロポーズ。それは夢のような日々でした。....ですが少女は、いつしかそれを喜べなくなっていました。少女は思いました。一体私は、何が欲しかったのだろう、と。』
「ほらほら次の出番!忘れてんじゃないでしょうね!」
「え?え?あ、あー!そうだった!!ちょ、台詞.....」
「なによ覚えてないの!?ああもうっ!!」
舞台には再び少女が一人。その周りに打ち捨てられているのは贈り物の数々。つまらなさそうにそれらを見やる少女がふと振り返る。そこに鏡を手にしたあの深紅の髪の女性が再び現れた。
「....願いは叶って?」
少女は首を振る。俯いているのは自分に話しかける声の前に、物陰でプロンプターを勤めるカノンの小声が聞こえて笑いをかみ殺しているからだ。
「(ふっ、ご苦労なことだ)....私にはわからない。一体私が何を望んでいたのか。もう何もわからなくなってしまったの。」
「...それでもこれは契約。私の願いを叶えてもらうわ。(落ち着け、もうすぐ、今度こそ終わりだっ!)」
再び光を放ち始める鏡。その輝きは次第に強くなっていく。
「これで終われる。やっと、永い永い時の呪縛からーーーーーー!(やったぁーー!!!)」
感極まったような叫びとともに鏡が激しい光を放ち、少女を飲み込んだ。暗転した舞台に静寂が落ちると、心無しか会場の気温が下がったようだった。そして聞こえてくるのは冷たい吹雪の音。
ぼんやりと戻ってくる照明の中、少女はやはり一人佇んでいる。手にはあの鏡。雪のように白い衣に身を包んで。その背景に広がるのもまた、寒々とした氷の宮殿。
『......永い時が流れてゆきました。もう誰も少女の周りにはいません。誰も少女の名を呼びません。少女はいつしか、『魔女』と呼ばれるようになっていたのです。』
風と共に白い花のような欠片が散る。少女の表情もまた、氷のように冷たく凍り付いていた。
『そしてまた、時は流れていきました。静かに、降り積もる雪のように.....』
静かに、幕が下りる。少女と氷の宮殿はその奥へと消えていった。
「さぁさぁ急いで!背景!はいそこ!もたもたしない!」
舞台裏ではカノンが声を張り上げている。ばたばたと背景が置き換えられ、出演者が入れ替わる。
「終わったぁ~!!!」
「おぅカレン、良かったぜ。色っぽくてよ。」
「ぅ....玉城っ!あんた大道具でしょ。ぼさっとしてないで働きなさいよっ!」
怖ぇ怖ぇ、と去っていく玉城を睨みつけ、大股に歩き出すカレンにC.C.が笑いをもらした。
「まぁ思いのほか上出来だったじゃないか。及第点だな。」
「な...何よ偉そうに。」
「私は演劇にはうるさいぞ?グローブ座やパリのオペラ座で働いたこともあるしな。」
「悪かったわねシロートで。」
くくく、と楽しげなC.C.と横目に睨みつけるカレンに、能天気な声が掛けられた。
「いよ、お二人さん。お疲れ。」
「なんだ。自分の準備はいいのか。」
まぁまぁ、と手を振るジノがぱち、とカレンにウインクをよこした。
「よかったよ。うん。綺麗だったな。」
「.....どうも。」
「いや残念だなぁ。その艶姿がもう見られないなんて。」
「見るなっ!!!」
大きく開いた胸元を慌てて隠して後ろを向いたカレンだったが、そこにばたりと出くわした顔にぎくりと顔が強ばった。
「....ルルーシュ」
「ああ、終わったのかカレン。ご苦労だったな。」
まるで騎士団での任務完了を労うような言葉に もっとマシなことを言えんのか、とC.C.がぼやく。
「あ、いたいた。ルルーシュ、カノンさんが呼んでる。あ、お疲れさまカレン。すごく綺麗だったよ。」
ひょこっ、とどこからともなく顔を出したスザクはさりげなく天然タラシな台詞を吐くと、ルルーシュの手を取ってさっさと行ってしまった。
「....着替えるわ。」
「そうだな。私もしばらく休憩する。」
「あ、それじゃ後で。」
何となく脱力感を感じながら、カレンは長い裾をたくし上げ楽屋へと向かった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
メイド系萌え萌え少女なC.C.を
ご想像下さい。
すっくと立ち上がったC.C.に腕を取られ、台本を睨んでいたカレンはぎょっと顔を上げた。
「え?え!?ちょ、ちょっと待って!もうちょっと、」
「なんだ。この期に及んでまだ台詞の確認か。情けない。」
「な...何よ文句ある!?」
「はいはい、二人ともさっさと出る!トップシーンですからね。ここでお客様をぐっと引きつけてもらわないと困るのよ!」
「わかってる。任せろ。」
「ちょ、ちょっと、あ、あーっ!!」
自信満々の魔女に引きずられ、カレンの悲鳴は舞台の裏手に消えた。
『....それは今から遠い遠い昔の物語。一人の少女がおりました。親も無く、兄妹も無く、心許せる友も無く、少女はひとりぼっちでした。』
よどみなく流れるセシルのナレーションは各国の言葉に自動翻訳され、音声ガイドから観客へと届く。荒野を思わせる舞台にはみすぼらしい服に身を包む緑の髪の少女。
『そんなある日。少女の前に不思議な女性が現れました。』
「ほら行って!いい?神秘的に。堂々と。超越者、って感じでね!」
「そ、そんなこと言われたって!!」
「ほらっ!行きなさい!!」
悲しげに俯く少女がふと顔を上げる。ぽうっと灯る照明に浮かび上がるのは深紅の髪の女性。血色を欠いたように白い肌にその色は鮮やかに映えた。見事な曲線を描く肢体が薄手の衣装を通してはっきりと浮かび上がる。その妖しいまでの美しさに会場は息をのんだ。
「す....すげぇ。あれ、カレンか!?」
「い....色っぽい....」
「.....(見てるかナオト。カレンは立派に成長してるぞ)」
舞台袖では、大道具及び小道具係に引っ張りだされた騎士団の面々が常ならぬエースパイロットの媚態に度肝を抜かれていた。
「こんにちは。お嬢さん。(よし、言えた!)」
「あ....あなたは?(ふっ、語尾が震えているぞ)」
おどおどと目の前の女性を見上げる少女。艶めいた笑みを浮かべる女性の肩を、深紅の髪がさらりと流れた。
「私はあなたの願いを叶える者。(ああもう、それにしてもこの衣装なんとかなんないの!?恥ずかしい!)」
「私の、願い?(そんなに冷や汗をかくな。化粧が落ちる。)」
「そう。あなたの、願い。私が叶えてあげる。その為の力をあげるわ。(ちょ、ちょっと、小道具、早く!)」
照明の陰と裾の長い衣装に紛れ、小道具係が鏡を手渡す。震える手でカレンはなんとかそれを受け取った。恐らく客席からは突然それが現れたように見えているはずだ。
「その代わり私の願いを叶えてもらう。これは契約よ。(よし、うまくいった!)」
鏡の表面に緑の髪の少女の顔が映る。と、そこに浮かび上がる朱い鳥の印。
「さぁこれを見て。(もう少し、もう少しで終わりだっ!!)」
さすがロイド特製の小道具、よくできている、と感心していると鏡が強烈な光を放った。舞台の照明が一斉に客席に照射され、会場から小さな悲鳴が上がった。
そして、暗転。
「じゃ、あとよろしくねC.C.っ。あー終わった終わった!!!」
「転ぶなよ」
「え?あ、ああぁ!!??」
がらがっしゃん、と微かな物音が袖の近くで聞こえたかと思うと再び照明が灯る。ぽつりと一人佇む少女は先程から一転、美しいドレスをまとっていた。どこからか現れた多くの紳士達がさっと彼女の周りを囲むと、競って贈り物を捧げる。戸惑いながら、微笑む少女。だがその表情は次第に虚ろなものになっていく。
『....少女が願えば誰もが少女を愛しました。たくさんの贈り物、優しい言葉、紳士達のプロポーズ。それは夢のような日々でした。....ですが少女は、いつしかそれを喜べなくなっていました。少女は思いました。一体私は、何が欲しかったのだろう、と。』
「ほらほら次の出番!忘れてんじゃないでしょうね!」
「え?え?あ、あー!そうだった!!ちょ、台詞.....」
「なによ覚えてないの!?ああもうっ!!」
舞台には再び少女が一人。その周りに打ち捨てられているのは贈り物の数々。つまらなさそうにそれらを見やる少女がふと振り返る。そこに鏡を手にしたあの深紅の髪の女性が再び現れた。
「....願いは叶って?」
少女は首を振る。俯いているのは自分に話しかける声の前に、物陰でプロンプターを勤めるカノンの小声が聞こえて笑いをかみ殺しているからだ。
「(ふっ、ご苦労なことだ)....私にはわからない。一体私が何を望んでいたのか。もう何もわからなくなってしまったの。」
「...それでもこれは契約。私の願いを叶えてもらうわ。(落ち着け、もうすぐ、今度こそ終わりだっ!)」
再び光を放ち始める鏡。その輝きは次第に強くなっていく。
「これで終われる。やっと、永い永い時の呪縛からーーーーーー!(やったぁーー!!!)」
感極まったような叫びとともに鏡が激しい光を放ち、少女を飲み込んだ。暗転した舞台に静寂が落ちると、心無しか会場の気温が下がったようだった。そして聞こえてくるのは冷たい吹雪の音。
ぼんやりと戻ってくる照明の中、少女はやはり一人佇んでいる。手にはあの鏡。雪のように白い衣に身を包んで。その背景に広がるのもまた、寒々とした氷の宮殿。
『......永い時が流れてゆきました。もう誰も少女の周りにはいません。誰も少女の名を呼びません。少女はいつしか、『魔女』と呼ばれるようになっていたのです。』
風と共に白い花のような欠片が散る。少女の表情もまた、氷のように冷たく凍り付いていた。
『そしてまた、時は流れていきました。静かに、降り積もる雪のように.....』
静かに、幕が下りる。少女と氷の宮殿はその奥へと消えていった。
「さぁさぁ急いで!背景!はいそこ!もたもたしない!」
舞台裏ではカノンが声を張り上げている。ばたばたと背景が置き換えられ、出演者が入れ替わる。
「終わったぁ~!!!」
「おぅカレン、良かったぜ。色っぽくてよ。」
「ぅ....玉城っ!あんた大道具でしょ。ぼさっとしてないで働きなさいよっ!」
怖ぇ怖ぇ、と去っていく玉城を睨みつけ、大股に歩き出すカレンにC.C.が笑いをもらした。
「まぁ思いのほか上出来だったじゃないか。及第点だな。」
「な...何よ偉そうに。」
「私は演劇にはうるさいぞ?グローブ座やパリのオペラ座で働いたこともあるしな。」
「悪かったわねシロートで。」
くくく、と楽しげなC.C.と横目に睨みつけるカレンに、能天気な声が掛けられた。
「いよ、お二人さん。お疲れ。」
「なんだ。自分の準備はいいのか。」
まぁまぁ、と手を振るジノがぱち、とカレンにウインクをよこした。
「よかったよ。うん。綺麗だったな。」
「.....どうも。」
「いや残念だなぁ。その艶姿がもう見られないなんて。」
「見るなっ!!!」
大きく開いた胸元を慌てて隠して後ろを向いたカレンだったが、そこにばたりと出くわした顔にぎくりと顔が強ばった。
「....ルルーシュ」
「ああ、終わったのかカレン。ご苦労だったな。」
まるで騎士団での任務完了を労うような言葉に もっとマシなことを言えんのか、とC.C.がぼやく。
「あ、いたいた。ルルーシュ、カノンさんが呼んでる。あ、お疲れさまカレン。すごく綺麗だったよ。」
ひょこっ、とどこからともなく顔を出したスザクはさりげなく天然タラシな台詞を吐くと、ルルーシュの手を取ってさっさと行ってしまった。
「....着替えるわ。」
「そうだな。私もしばらく休憩する。」
「あ、それじゃ後で。」
何となく脱力感を感じながら、カレンは長い裾をたくし上げ楽屋へと向かった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
メイド系萌え萌え少女なC.C.を
ご想像下さい。
この記事へのコメント