1OH!? 1 stage 1
蓬莱島内「黒の騎士団」仮設本部中央司令官室(旧エリア11現合衆国日本国土復旧中につき)にその日一個の荷物が届いた。
送り主は ブリタニア連合国 ナナリー・ヴィ・ブリタニア とある。
そしてその荷物を前に神妙な顔つきでしゃがみ込む3人。
「...どうするんだ。」
ゆら、と緑の髪が揺れて隣を見やる。
「....」
紫紺の目はじっと箱をみつめる。
「...一応あけてみない?」
赤い髪が身を乗り出した拍子に跳ねた。
しかし荷物を送られた本人 荷物の宛名は 超合衆国「黒の騎士団」本部中央司令室 さらに枠をとって「親展」CEO ゼロ様 とある は不振気に眉を寄せるばかりである。
「検知器にはかけたんだろう?」
さすがに少々しびれを切らしたように緑の髪の魔女ーーーC.C.が問う。
「...一応爆発物や揮発性物質の反応は無い。」
ようやくそれだけを返しこの場の責任者ーーー騎士団のリーダーことゼローーー本名ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアーーーは再び箱を睨みつけた。権謀術策という言葉が息をしているような彼の頭の中には恐らく最低3桁の可能性がシミュレートされていることだろう。
「...でもさ、これ一応ナナリーからでしょ?そんな警戒しなくたって。」
自身兄を持つ妹の身として、彼の妹への偏愛ぶりを知る騎士団のエースパイロット及び零番隊隊長紅月カレンはいささか意外そうな目を向ける。しかし彼女のリーダーは いや、と小さく首を振った。
「...こんなかさばるものをナナリーがいきなり送りつけてくるなんてことはあり得ない。」
この前電話した時もそんなこと言ってなかった、と続くと なるほど、と納得せざるをえない。(いささか論拠が主観的ではあるが)
「で、どうするの。」
「私は知らん。なんにせよお前宛だルルーシュ。開けてみろ。」
「ちょっとC.C.!無責任なこと...」
と、がさ、と箱が揺れた。びく、と飛び退く一同の前でしかし箱は再び沈黙する。しん、と沈黙が下りた。
「...なに今の」
「....」
「...おい。いいかげんに開けてみろ。」
「ちょ...ちょっと待ってってば。万一何か危険なものだったら」
がさ、と再び箱が揺れる。二度飛び退く一同をよそにがさがさと箱が揺れ、何やら妙な音が中から聞こえた。
「え?」
「?」
「??」
よくよく耳を澄ますとがさがさという音に くん、とか きゅん、とか わふ、とか鳴き声めいたものが混じっている。
しばし動き回った箱が沈黙を取り戻すと、一同は互いに顔を見合わせた。
「....なに」
「....何...だろう」
「だから開けてみろ。」
いささか嫌な予感を感じつつ視線をかわした後、意を決したように箱に手をかけたのはカレンだった。下がってて、と注意を忘れないあたりは親衛隊隊長を自負するだけのことはある。見上げた忠誠心と言おうか。
厳重に釘付けされた蓋を剥がすと中には更にガムテープで封をした段ボールが入っている。(ちなみにそれには「Shizuoka Mikan」の文字があり一瞬カレンの郷愁を誘ったのだが)
「...開けるわよ」
こくり、と2人分の頭が頷くのを確認し、カレンはガムテープを一気に取り去った。 が 予想に反し中から生き物なり玉手箱の煙なりみかん箱の妖精なり、何かが飛び出してくる様子は無い。
はて、と3人が箱を覗き込んだ時、ひょい、と何かが顔を出した。その視線がぱち、と中央にいたルルーシュとかちあう。
「「「....................................。」」」
時間にしてたっぷり30秒はあったろうか。顔を出したそれはふわぁぁぁと顔をほころばせると、翡翠色の目を輝かせて跳び上がった。
「ルルーシュ!!!!」
「ほわぁあ!!??」
ぽん、と栗色のボールのように跳ねたそれは騎士団のメンバーにはとても聞かせられない珍妙な声を上げて飛び退いた彼の胸にしがみつくとぱたぱたとちぎれんばかりに尻尾を振った。(ついでに耳もぱたぱたしていた)
「ルルーシュ!ああ会いたかった!!よかった、もう死ぬかと思った。嬉しいよルルーシュ、また会えるなんて!!」
くんくん、と鼻を鳴らしながらぱたぱた尻尾を振っているのは一見したところ元気のいい子犬に見えた。しかしそれはまぎれも無く人語を解している。くるくるとしたくせ毛と半泣きの翡翠の目がやけに記憶に引っかかるのは何故だろう。なんにせよただならぬ事態である。相変わらずイレギュラーにとことん弱いルルーシュは完全に固まっている。以下脳内。
なんだこれは犬か?秋田犬いや小さい恐らく柴犬しかしこいつは今確かに喋っている幻聴かいやカレンとC.C.の顔からして俺一人の幻聴ではありえないとするとなんだどこかにボイスレコーダーが違う明らかにコイツの口から聞こえた犬が喋る馬鹿なそんなことあってたまるかしかし現実にこいつは喋ってるとするとブリタニアは密かに生物兵器の研究をしかしそんな情報は入ってないディートハルトの手落ちかだいたいこんなもの兵器になるのか目的は何だああやっぱりこんなもの送ってよこすのはシュナイゼルしかありえないよくもナナリーの名前を許せんあの糞兄貴いずれ殺すそれにしてもなんでこんなものこのタイミングで送ってきたしかもこんなスザクみたいな奴そういえば昔からあいつは犬みたいでえ?スザク?
「...何だ枢木、そのナリは。」
いささか笑いをこらえているような魔女の声に、すんすんと鼻を鳴らしていた子犬はきっ、と顔を上げた。はたと我に返ったカレンが声を上げる。
「ちょ...ちょっと離れなさいよアンタ!何いつまでもしがみついてんのよ!!」
むぎゅ、と子犬の手足にいささか力がこもったようだったがカレンは容赦なくそれを引きはがした。ばち、と両者の目が噛み合う。
「...下ろしてくれないかな」
「お断り。で?何の用?こんなカッコで。」
一見「子犬と少女の語らい」という心温まる光景だが冷ややかな視線を向け合う両者の間には見えない氷点下の火花が散っている。何しろ「紅の戦乙女」と「白の死神」は少し前まで戦場で幾度も刃をかわした間柄である。当然両者の溝は深い。今にも一触即発、という空気を、やけに能天気な声が破った。
「まーぁまぁお二人さん。そうカリカリしなさんなって、ねぇ?」
最後の「ねぇ?」と共にずしっ、と肩にのしかかった重みにぺしゃ、とルルーシュが潰れるのとカレンの手からひょいと跳んだ子犬がルルーシュにのしかかった白い犬を蹴り跳ばすのとどちらが速かっただろう。はうぁ、と妙な声を上げてのけぞった大型犬が倒れるのを意にも介さず、栗色の子犬はたたっ、とルルーシュに駆け寄った。
「大丈夫ルルーシュ?怪我は無い??」
なんとか身を起こしたルルーシュの周りを子犬はあたふたと走り回る。その後ろで いてて、と顎をさすりながら大型犬が立ち上がった。
「ひどいんじゃないかぁ?スザク。ちょっとした挨拶のつもりだったのに...」
「わきまえてくれないかジノ。ルルーシュに怪我をさせたりしたら同じラウンズといえ容赦しないよ。」
「あー、わかったわかった。そんな怖い顔すんなよ。」
ごめんごめん、と笑うのは金髪に後頭部から三つ編みをぶら下げた白い犬。外見はイングリッシュセッターか何かが一番近いところだろう。息をのんで立ち尽くすカレンに気がついたのか、白い犬は や、久しぶり、と手(前足)を上げた。ひく、と喉を引きつらせたカレンの脳裏には、かつて捕虜になった自分をブリタニア軍にスカウトしようとした派手な男の顔がかすめたに違いない。
そんな面々を面白半分に観察していたC.C.の足をちょん、と何かがつついた。見ればピンクのプードルめいた犬が眠たげな目でこちらを見上げ、磁気ディスクらしきものを差し出している。口にくわえられたそれを受け取ると、ピンクの犬は
「...伝言」
とだけ口にした。
「...だそうだぞ。」
C.C.の言葉にようやく全員の視線が集中した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
はじまっちまいました。やっちまいました。どうする私。
送り主は ブリタニア連合国 ナナリー・ヴィ・ブリタニア とある。
そしてその荷物を前に神妙な顔つきでしゃがみ込む3人。
「...どうするんだ。」
ゆら、と緑の髪が揺れて隣を見やる。
「....」
紫紺の目はじっと箱をみつめる。
「...一応あけてみない?」
赤い髪が身を乗り出した拍子に跳ねた。
しかし荷物を送られた本人 荷物の宛名は 超合衆国「黒の騎士団」本部中央司令室 さらに枠をとって「親展」CEO ゼロ様 とある は不振気に眉を寄せるばかりである。
「検知器にはかけたんだろう?」
さすがに少々しびれを切らしたように緑の髪の魔女ーーーC.C.が問う。
「...一応爆発物や揮発性物質の反応は無い。」
ようやくそれだけを返しこの場の責任者ーーー騎士団のリーダーことゼローーー本名ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアーーーは再び箱を睨みつけた。権謀術策という言葉が息をしているような彼の頭の中には恐らく最低3桁の可能性がシミュレートされていることだろう。
「...でもさ、これ一応ナナリーからでしょ?そんな警戒しなくたって。」
自身兄を持つ妹の身として、彼の妹への偏愛ぶりを知る騎士団のエースパイロット及び零番隊隊長紅月カレンはいささか意外そうな目を向ける。しかし彼女のリーダーは いや、と小さく首を振った。
「...こんなかさばるものをナナリーがいきなり送りつけてくるなんてことはあり得ない。」
この前電話した時もそんなこと言ってなかった、と続くと なるほど、と納得せざるをえない。(いささか論拠が主観的ではあるが)
「で、どうするの。」
「私は知らん。なんにせよお前宛だルルーシュ。開けてみろ。」
「ちょっとC.C.!無責任なこと...」
と、がさ、と箱が揺れた。びく、と飛び退く一同の前でしかし箱は再び沈黙する。しん、と沈黙が下りた。
「...なに今の」
「....」
「...おい。いいかげんに開けてみろ。」
「ちょ...ちょっと待ってってば。万一何か危険なものだったら」
がさ、と再び箱が揺れる。二度飛び退く一同をよそにがさがさと箱が揺れ、何やら妙な音が中から聞こえた。
「え?」
「?」
「??」
よくよく耳を澄ますとがさがさという音に くん、とか きゅん、とか わふ、とか鳴き声めいたものが混じっている。
しばし動き回った箱が沈黙を取り戻すと、一同は互いに顔を見合わせた。
「....なに」
「....何...だろう」
「だから開けてみろ。」
いささか嫌な予感を感じつつ視線をかわした後、意を決したように箱に手をかけたのはカレンだった。下がってて、と注意を忘れないあたりは親衛隊隊長を自負するだけのことはある。見上げた忠誠心と言おうか。
厳重に釘付けされた蓋を剥がすと中には更にガムテープで封をした段ボールが入っている。(ちなみにそれには「Shizuoka Mikan」の文字があり一瞬カレンの郷愁を誘ったのだが)
「...開けるわよ」
こくり、と2人分の頭が頷くのを確認し、カレンはガムテープを一気に取り去った。 が 予想に反し中から生き物なり玉手箱の煙なりみかん箱の妖精なり、何かが飛び出してくる様子は無い。
はて、と3人が箱を覗き込んだ時、ひょい、と何かが顔を出した。その視線がぱち、と中央にいたルルーシュとかちあう。
「「「....................................。」」」
時間にしてたっぷり30秒はあったろうか。顔を出したそれはふわぁぁぁと顔をほころばせると、翡翠色の目を輝かせて跳び上がった。
「ルルーシュ!!!!」
「ほわぁあ!!??」
ぽん、と栗色のボールのように跳ねたそれは騎士団のメンバーにはとても聞かせられない珍妙な声を上げて飛び退いた彼の胸にしがみつくとぱたぱたとちぎれんばかりに尻尾を振った。(ついでに耳もぱたぱたしていた)
「ルルーシュ!ああ会いたかった!!よかった、もう死ぬかと思った。嬉しいよルルーシュ、また会えるなんて!!」
くんくん、と鼻を鳴らしながらぱたぱた尻尾を振っているのは一見したところ元気のいい子犬に見えた。しかしそれはまぎれも無く人語を解している。くるくるとしたくせ毛と半泣きの翡翠の目がやけに記憶に引っかかるのは何故だろう。なんにせよただならぬ事態である。相変わらずイレギュラーにとことん弱いルルーシュは完全に固まっている。以下脳内。
なんだこれは犬か?秋田犬いや小さい恐らく柴犬しかしこいつは今確かに喋っている幻聴かいやカレンとC.C.の顔からして俺一人の幻聴ではありえないとするとなんだどこかにボイスレコーダーが違う明らかにコイツの口から聞こえた犬が喋る馬鹿なそんなことあってたまるかしかし現実にこいつは喋ってるとするとブリタニアは密かに生物兵器の研究をしかしそんな情報は入ってないディートハルトの手落ちかだいたいこんなもの兵器になるのか目的は何だああやっぱりこんなもの送ってよこすのはシュナイゼルしかありえないよくもナナリーの名前を許せんあの糞兄貴いずれ殺すそれにしてもなんでこんなものこのタイミングで送ってきたしかもこんなスザクみたいな奴そういえば昔からあいつは犬みたいでえ?スザク?
「...何だ枢木、そのナリは。」
いささか笑いをこらえているような魔女の声に、すんすんと鼻を鳴らしていた子犬はきっ、と顔を上げた。はたと我に返ったカレンが声を上げる。
「ちょ...ちょっと離れなさいよアンタ!何いつまでもしがみついてんのよ!!」
むぎゅ、と子犬の手足にいささか力がこもったようだったがカレンは容赦なくそれを引きはがした。ばち、と両者の目が噛み合う。
「...下ろしてくれないかな」
「お断り。で?何の用?こんなカッコで。」
一見「子犬と少女の語らい」という心温まる光景だが冷ややかな視線を向け合う両者の間には見えない氷点下の火花が散っている。何しろ「紅の戦乙女」と「白の死神」は少し前まで戦場で幾度も刃をかわした間柄である。当然両者の溝は深い。今にも一触即発、という空気を、やけに能天気な声が破った。
「まーぁまぁお二人さん。そうカリカリしなさんなって、ねぇ?」
最後の「ねぇ?」と共にずしっ、と肩にのしかかった重みにぺしゃ、とルルーシュが潰れるのとカレンの手からひょいと跳んだ子犬がルルーシュにのしかかった白い犬を蹴り跳ばすのとどちらが速かっただろう。はうぁ、と妙な声を上げてのけぞった大型犬が倒れるのを意にも介さず、栗色の子犬はたたっ、とルルーシュに駆け寄った。
「大丈夫ルルーシュ?怪我は無い??」
なんとか身を起こしたルルーシュの周りを子犬はあたふたと走り回る。その後ろで いてて、と顎をさすりながら大型犬が立ち上がった。
「ひどいんじゃないかぁ?スザク。ちょっとした挨拶のつもりだったのに...」
「わきまえてくれないかジノ。ルルーシュに怪我をさせたりしたら同じラウンズといえ容赦しないよ。」
「あー、わかったわかった。そんな怖い顔すんなよ。」
ごめんごめん、と笑うのは金髪に後頭部から三つ編みをぶら下げた白い犬。外見はイングリッシュセッターか何かが一番近いところだろう。息をのんで立ち尽くすカレンに気がついたのか、白い犬は や、久しぶり、と手(前足)を上げた。ひく、と喉を引きつらせたカレンの脳裏には、かつて捕虜になった自分をブリタニア軍にスカウトしようとした派手な男の顔がかすめたに違いない。
そんな面々を面白半分に観察していたC.C.の足をちょん、と何かがつついた。見ればピンクのプードルめいた犬が眠たげな目でこちらを見上げ、磁気ディスクらしきものを差し出している。口にくわえられたそれを受け取ると、ピンクの犬は
「...伝言」
とだけ口にした。
「...だそうだぞ。」
C.C.の言葉にようやく全員の視線が集中した。
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はじまっちまいました。やっちまいました。どうする私。
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